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weekly news column 01.12.25
テレビ番組の放送開始に合わせたバナー広告が効果的

ホームページの広告配信を行っているバリュークリック・ ジャパン株式会社は、テレビ番組の開始時間に合わせて、 そのテレビ番組の広告を配信する実験を行った。その結果、 視聴率が予想以上に上がることが分かった。

実験の1つとして、11月16日放送の「ワールドビジネス サテライト(WBS)」の宣伝を行ったところ、テレビを見て いなかった人が WBS を見始めたのがその時間帯で最高になり、 20歳〜34歳の視聴率が前4週平均の2〜3倍となった。

クリック型のバナー広告は、クリックの回数が主な 広告料のやり取りの基準になっている。 たとえば 新商品の広告であれば、興味を持っている人がその 商品の詳細を知るためにクリックするので、

  クリックの回数=興味を持っている人の数

となる。しかし、毎週やっているテレビ番組の宣伝や、 コカコーラなどの定番商品の宣伝の場合、この等式は 成り立たない。 つまり、クリックされなくても広告の 効果があるため、比較的広告料が安くなると考えられる。

クリック型のバナー広告の配信会社であるサイバー・ クリック社がサービスを停止したこともあり、 生き残り競争が激しくなっている。 単にクリックを カウントするサービスを提供するだけでなく、付加価値を 持ったサービスの開発が必要となったのかもしれない。

この「番宣ジャック」と呼ばれるサービスは、年末年始から テレビ東京に対する正式なサービスとして開始する。

これを参考に、あなたの提供しているサービスの配信時間に ついて考えてみたらどうだろうか。


weekly news column 01.12.17
TRON が標準ハードウェア・プラットフォームを発表、互換性を強化

2001年 12月 12日、組み込み機器で最も使われている OS である μITRON などを提唱している TRON プロジェクトが、T-Engine と呼ばれるハードウェア仕様を策定中であると記者発表した。

μITRON(マイクロ・アイトロン)は、坂村健東京大学教授が 実行委員長を務める TRON (The Real-time Operating system Nucleus) プロジェクトが規定している、組み込み機器で最も 採用実績のある国産リアルタイム OS である。リアルタイム OS(RTOS)とは、タスク(プロセス、スレッド)の反応時間を マイクロ秒レベルで保障しているもので、家電などの組み込み 機器では必須の機能である。

しかし、各社が開発しているμITRON には厳密な互換性が実現 されているわけではない。つまり、同じOS であっても厳密には 違うものであると考えてよい。こうなってしまったのは、良くも 悪くも μITRON の緩やかな仕様によるものである。 緩やかな 仕様によって、各組み込み機器の特殊な機能に対応することも できるし、別の μITRON に移った開発者が再び1から勉強する 必要もない。 組み込み機器は、その機器単体で完結している ことが多く、Windows のようにソフトウェア資産を継承する 必要がないため、緩やかな仕様でも問題がなかった。

しかし、PDA や携帯電話の上で動作するアプリケーション・ ソフトウェアが動作する機器では、その緩やかな仕様が 必要不十分であるとして、Java、Windows CE、Palm といった OS が採用されている。 また、ユビキタス・ コンピューティングとよばれる家電のネットワーク接続が これからの技術として注目されていることがあって、 ソフトウェアやメッセージングの完全な互換性が重要に なってきている。

そこで、TRON プロジェクトは、OS の仕様だけでなく、 ハードウェアのプラットフォームも提唱し、ソフトウェア の互換性を実現しようとしている。これは、マイクロソフトと インテルが規定した PC の仕様 PC97,PC99 などと同じ 立場のものである。

具体的には、次の規格を提唱ようとしている。

標準 T-Engine は、次のような構成になっている。

T-Engine ボードは、次のような構成になっている。

サンプル・プラットフォーム(ハードウェア)として、 次のものがあったという。

ただし、現在も T-Engine の仕様は策定中であり、 詳細な仕様は、2002年 6月に TRON のホームページで 公開する予定だ。

詳細が不明なため、あまり意見を言える立場ではないが、 ソフトウェアの互換性を期待したいのであれば、 リファレンス・プラットフォームだけでなく、 リファレンス・ソフトウェアを規定するか、キラー アプリケーションが登場すればいいと考える。 つまり、ハードウェアがどれだけ仕様に準拠しているか という方向でテストを行うよりも、対象ソフトウェアが 動くかどうかのテストの方が確実であるし、ハードウェア にとって邪魔な(古いか不適当な)仕様ができてしまう こともないからだ。

Windows の場合、API は規定されているが、その実装内容 まで規定されていない。 そのため、Windows XP で ルック&フィールが新しくなってもアプリケーションは動く。 それに Windows の API の仕様は、厳密にドキュメントに よって規定されているのではなく、ソフトウェア資産が 動くかどうかによって規定されている。そのような規格で あるため、OS によって API が厳密に異なる動作をして、 一部のアプリケーションやデバイスドライバが、新しい Windows では動かないといった現象がよく起きるのである。

T-Engine、いや、ユビキタス機器向け OS が成功するかどうかは、 厳密なハードウェア仕様ではなく、エンド・アプリケーションや メッセージング・プロトコルの動作確認による互換性という、 一般にあまり推奨されない結果主義的な視点があるかどうかに かかっていると思う。


weekly news column 01.12.10
nimda に続き新種ウィルス, Badtrans, Aliz, Goner が急速に拡大

2001年 12月 5日、「Goner(=落ちぶれた人)」と呼ばれるウィルスが 発見され、急速に感染ルートを広げている。

Goner は、Hi という件名で、本文には英語で、このスクリーンセーバー を使ってみてください、という内容が書かれ、スクリーンセーバー が添付されている。これまでのウィルスが実行ファイル(拡張子.exe)や スクリプト(拡張子.vbs)だったのに対し、今回は、スクリーンセーバー (拡張子.scr)だったので、引っかかった人も多かったのだろう。

先月は、見るだけで Cookie にあるパスワードを漏らす Badtrans, 見るだけで感染する Aliz が発見された。 最近のウィルスの多さは酷いものだ。

これらのウィルスに共通するのは、ラブレターを添付します、 2000年問題の対策プログラムを添付します、といったように ユーザに添付ファイルを開かせようとすること、 Outlook のアドレスを読むことと、Outlook を使ってメールを 送信することである。Outlook Express 6 でようやくメールを 自動的に送るときに確認を取って、自動的に送らないようになったが、 まだ ver5 を使っている人も多いせいか、いまだにメールウィルスが 広まっている。あるメーリングリストの管理者は、1日に60件も ウィルスがチェックソフトに引っかかるという。

悪質なのは、メールを見るだけで感染するというものだ。 これは、HTML メールを表示したときに動作するスクリプトが ウィルスを起動させるものだ。(もちろん今は、この手は使えない)

ウィルスの感染スピードは、1時間もあればかなり広まる。 なぜなら、業務中にメールを見たらすぐに確認をするだろうし、 アドレス帳の全員に送るために級数的に増加するためだ。 発見した次の日にはニュースサイトやウィルス対策センターより、 すでに広がっているウィルスとして紹介される。

ウィルスに感染しなくとも、ウィルスの情報が流れると、ウィルスを チェックするツールを使ってハードディスク全体をスキャンするため、 業務効率が落ちる。Outlook 以外のメーラーを使っていても、 添付ファイルを開くと感染してしまうので注意が必要だ。

皆さんもご存知のとおり、添付ファイルを開かないというのが、 ウィルスから身を守る基本だ。たとえ知り合いのメールであっても、 不可解な添付ファイルは、ウィルスによるものなので開かないこと。 しかし、添付ファイルを開かないだけでは対応できないのもあるので、 メーラーに渡す前のファイアーウォールでカットするものも売られている。 プロバイダでカットするサービスも始まっている。 ウィルス検索ソフトの定義ファイル、メーラー、ブラウザも最新にしておく。 昔のバージョンがいいので使い続ける、といったことが難しくなってきた。 あと、会社に正規のネットワーク以外の入り口であるダイアルアップ接続も しないこと。これがいちばん不正アクセスに狙われやすい。 また、個人所有の PC や PDA を会社に持っていく人は、その PC や PDA に ウィルス検索ソフトを必ず入れて、定義ファイルの更新を毎日すること。

もし感染したら、まずネットワークを切ること。自分が仕事場に ウィルスを拡散させたら大問題だ。そして、別の PC を使って 最新のウィルス検索ソフトを入手して、感染したウィルス名を調べる。 別の PC を使って、ウィルス対策ソフトを提供しているホームページから ウィルスの症状を確かめる。 別の PC から駆除ソフトを入手して駆除する。 最後に、ウィルスの症状が出ないか、自分にメールを送ったりして 確かめる。

ウィルスの作者は、Microsoft が憎いのか、自分の作ったものが 広がるのがうれしいのかわからない。しかし、表現の自由を盾に ウィルスの作り方をまとめたページがあるために、ウィルス作者を 増やしていることは確かだろう。使うほうが悪いという論法だが、 ピストルを持っていなければピストル犯罪が少ないように、 武器を広めることも犯罪であると考える。そう、最近コピー プロテクトをはずす機器を開発販売するといったように、 犯罪を即すことも犯罪になってきた。 ホームページの脆弱性を知らせる親切なハッカーが登場したらしいが、 セキュリティ会社の関係でなければ、たとえそのときに脆弱性を 知ることができても、そのようなハッカーを目指そうとする 大義名分ができてしまうため、犯罪者を増やすことになりかねない。 もちろん、ウィルス作者も犯罪になる。罪はかなり重い。 最近は、犯人を特定する方法も進んでいるため、冗談半分で 軽いウィルスもどきを友達に送って、一般に広がったり したら人生を台無しにするためリスクが非常に高い。

技術を使うものとしてハッカーに言いたいことがある。 技術が一流であっても、人に迷惑をかけるものでは本当の メジャーにはなれない。世間が敵になり肩身が狭くなるだけだと。


weekly news column 01.12.03
ウィルスメールのような携帯電話の着信履歴に注意!携帯各社が勧告

2001年 11月、NTT Docomo、J-phone、au、ツーカーの携帯電話 各社は、悪質な迷惑電話に対して注意を呼びかけている。

悪質な迷惑電話は、実際に貴方の携帯電話で話をするわけでは ない。一瞬だけ電話をつなげて貴方の携帯電話に着信履歴を 残し、その履歴に電話をかけることで、いわゆる出会い系サイト やアダルトの有料番組につながり、高額な料金が請求されて しまうというものである。

見知らぬ着信履歴にかけてみて高額な料金が請求されることは、 パソコンで見知らぬメールを開いてウィルスに感染するのと 似ている。 メールが一般に普及した現代では、不振なメールを 確認しないですぐに削除することが浸透しつつあるが、 見てみたいという興味がおさまるわけではないので、 油断できないのもパソコンのウィルスメールに似ている。

今回の場合、携帯電話のアドレス帳をきちんと使っていれば、 ほぼ被害を防ぐことができる。なぜなら、着信履歴の電話番号 と一緒に名前が表示されるからだ。名前が出ていなければ、 かけなおさなければいい。 しかし、アドレス帳を使ってい ないと、その区別がつかないため今回の手口に引っかかって しまう可能性が高い。 会社で借りた携帯電話の場合、会社や 社員の電話番号がアドレスに登録されていればいいが、登録 されていないで、これに引っかかると、変に誤解されてしまう かもしれない。 かけなおす前に、携帯電話以外のアドレス帳を 確認するとか、誰かにその番号を確認するのも手だろう。 いろいろ手が考えられるが、少なくとも、着信履歴の番号を そのままかけなおすことさえしなければ被害にはあわない。

携帯電話各社は、この手口に対する技術的な対策を出していない。 以前、不特定多数に大量のメールを発行し、大量のアドレスの エラーを起こして回線に負荷をかけたとして処分を行ったことが NTT Docomo から報じられた。メールの場合は、メールアドレスを 変えることで一応の対策ができるが、今回のような電話番号を 使ったケースでは、対応のしようがない。 将来、メールアドレスのような電話番号が使えるようになれば、 いいのだろうが、はたして対策に乗り出すだろうか。

ただ、現在わかっている手口では、着信履歴にかけなおすだけでは 被害は受けない。かけなおすとアナウンスが流れて、 そこから先に進むと料金が発生する。しかし、この先、 かけなおすだけで料金が発生するという、さらに 悪質なケースが出ないとも限らないので注意したい。

追加
この記事「ウィルスメールのような携帯電話の履歴」に関する メールが回っており、JCSA によるとこのメールがデマ・ウィルスに 分類されるようです。この記事でお知らせしたとおり、携帯の履歴に かけてからガイドに従って先に進まなければ料金はかかりません。 必要以上に心配された方がおられましたらお詫び申し上げます。

[JCSA] 最新デマメール情報 「ワン切り携帯コール」
http://www.jcsa.or.jp/hoax2.html#onegiri (cache)