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週刊 IT ニュース&コラム 2002/02/25
2/22に XBox発売開始、ゲイツ氏いいとも出演

2002年 2月 22日、マイクロソフト会長ビルゲイツ氏が来日し、 新型ゲーム機 XBOX(エックス・ボックス)の発売イベントに 多数参加した。

朝6:20から渋谷のTSUTAYAでセレモニーが開始され、ゲイツ氏が直接、 第1号の購入者にXBOXを手渡した。X JapanのYOSHIKI氏、DJの赤坂氏、 アイドルの眞鍋さんもセレモニーに参加した。昼には「笑っていいとも」 に出演し、いいともレギュラーからの質問を受けたりゲームで対戦を したりした。

秋葉原ではなく渋谷で開催したのは、コアなユーザよりも若者への アピールをしたかったのではないかと思われる。

XBOXは、PlayStation2(PS2) よりも4倍の性能を持っているという。 そのため、より臨場感のある画面を描き出すことができる。 DVDディスクを搭載しているが、DVD 再生キットは別売りなので注意。 音声は、5.1ch に対応している。また、8GBのハードディスクを標準装備 しており、ゲームの保存はもちろん、CD をハードディスクに入れて 音楽を聴くこともできる。イーサネットも標準搭載しているので、 ネットゲームもすぐにできる。コンシューマ向けの.NET 端末になることを 計画しているが、まだ具体的なサービスは発表されていない。 日本版では、小さめ、といっても、他のゲーム機と同じサイズの コントローラになっている。

キラーアプリケーションとして、テクモの TeamNinja が開発した、 DEAD OR ALIVE 3 があり、これまでにない躍動感と繊細な表現を 両立している。あと、意外に知られていないが、同時発売タイトルは、 12本もあり、大手ゲームメーカが名を連ねている。PS2の発売日にあった ラインナップより多い。ただ、リメイク版が多いために新鮮さが欠ける 点と、今後のラインナップが少ないというのが大多数の意見だ。 そのため、PS2とは違い、売り切れの店はあまり出ていない。 また、リージョンコードがあるので海外のゲームも遊べない。

限定スケルトン・モデルにはゲイツ氏のサイン入りキーホルダーと DVD再生キットが付いて¥39800。標準価格は¥34800。

開発ツールは、2000年 8月の段階で PCベースのものを提供していたが、 現在では専用のシステムを提供しているらしい。DirectX8 に準拠した APIではあるが、DirectXの SDKで開発することはできない。 これにより、XBOX のゲームの品質を維持しようとしているようだ。

XBOX は、Pentium と GeForce で構成されているため、パソコンと ほとんど変わらないのだが、パソコンとの互換性は一切排除している。 パソコン用ゲームコントローラさえ使うことができない。

これは、パソコンにも使えるというハイブリット戦略ではなく、 最高のゲーム機は XBOX であると認知させるアイデンティティ戦略だ。

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週刊 IT ニュース&コラム 2002/02/18
インテル、携帯機器向け超低電力CPU、PXA250 を発表

2002年 2月12日、インテルは、PocketPC の標準CPUであるSA1100の 後継である PXA250と、次世代携帯電話への搭載をにらんだ PXA210を 発表した。

WindowsCE の1つの形態である PocketPC は、Strong ARM のみ サポートしている。そのため、どのメーカーの PocketPC も、CPUは、 SA1100(動作周波数206MHz)であり、変化がなかった。 今回の発表により、動作周波数が400MHzと、約2倍の性能をもった PDA(携帯情報端末)が登場することになる。

PXA250/210は、新しい XScaleマイクロアーキテクチャーを採用しており、 400MHzの高速動作でありながら、SA1110の半分の消費電力で動作する という。また、ダイナミックに動作周波数を変えることにより、 さらに消費電力を抑えられるという。これにより、PocketPC は、 すぐに電池切れになるという評判は減るだろう。

PocketPC のライバルである Palm機は、バージョン5.0から ARM を サポートするようになるため、Strong ARM を採用した Palm機が 出るだろう。そうなると、CPUの周波数は33MHzから一気に12倍の 400MHzに上がることになる。

PDA のCPUは、PC(パソコン)のCPUに比べてかなり遅いが、 OSが軽いため、現状の206MHzでも軽快に動作する。 Palm機にいたっては、 たったの 33MHzで動いている。しかし、最近の PDAは、MP3で音楽を 聴いたり、動画を再生したりと、かなり重たい処理をこなすように なってきた。(ただし、CLIE などの音楽の聴けるPalm機では、CPUだけ ではなく DSPというマルチメディア処理専門のチップを搭載することにより、 音楽が聞けるようになっている。)

第3世代が始まってきた携帯電話も、ブロードバンド化や Java対応により、 CPUの高速化は期待されるところだ。携帯電話も、現在25MHz〜90MHzで動作する CPUが使われているため、PXA210 を採用するとかなり高速になる。

PXA250を採用した PDAは、今年後半から登場すると予想されている。 時期は多少ずれるかもしれないが、登場は確実だろう。

PXA210を採用した携帯電話が登場することはしばらくないだろう。 画面が小さいために、動画を見たり音楽を聴いたりすること以外に 重たい処理をさせることがないからだ。 携帯電話で待たされるのは、 通信中ぐらいだろう。

超低電力のクルーソーより低い電力で 400MHzを達成する技術力は、 地味ながら非常に高い。他のメーカーで達成するのは難しいだろう。 このため、インテルが新しい組み込み機器の市場に、手を広げる 可能性を秘めている。

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週刊 IT ニュース&コラム 2002/02/11
Jフォン、ムービー写メールを来月からサービス開始

Jフォンは、3月1日から、好評の「写メール」を発展させた 「ムービー写メール」が使える、パケット通信サービスを 開始することを発表した。

ムービー写メールは、ザウルスでも使われている、オフィスノア社の、 Nancy Codec 形式の圧縮を使用し、80x60の解像度、毎秒15枚、 最大5秒間、最大15KBの動画をメールに添付できる機能だ。 音声の有無も選択できる。 ムービー写メールに対応していない機種で、動画を受信したときは、 パソコンに転送することも可能だ。パソコンで見るときは、 オフィスノア社のホームページで提供されている「Pocket Nancy」 というプレイヤーを使う。

Jフォンが提供するパケット通信サービスは、iモードの3倍である、 最大28.8kbps の通信速度を持つ。3倍程度であれば、 ダイヤルアップから ADSLに変わったときほどの、インパクトは ないが、ムービー写メールの対応や、メール、Javaアプリなどの 容量の強化がなされる。スーパーメールは最大6000文字(全角)、 スカイメロディは最大40和音、Javaアプリは最大100KBになる。

パケット通信サービスが使えるのは、サービスと同時に発売される 「J-SH51」のみだが、「J-K51」「J-T51」などの対応機種が 順次発売される予定だ。

料金は、各種パケット通信サービスをパッケージした 「Jスカイパケットパック」が月額300円、1パケット(128バイト) あたり0.3円であり、パケットを使ったメールなら、送信は約3〜5円、 受信は約1〜2円となる。ただし、受信通知にも課金される。 15KB の最大容量のムービーを受信したときは、約40円になる。

今回の「ムービー写メール」は、テレビ電話を実現するものではない。 最大5秒であるから、ひとネタ分の内容しか送られない。細かい内容は 添付元の文字メールで送るしかない。しかし、逆に言えば、5秒に 内容を詰め込まれたものが送られるので、ネタを送るのにはちょうど よいのかもしれない。内容を見直してから送るのにも、あまり時間が かからないので、会話のテンポが途切れることもないだろう。 テレビ電話であれば、リアルタイムで送られるので、墓穴を掘ることに なる可能性があるが、動画であれば内容の安全性を確認してから 送ることができるので、プライベートも守られるだろう。 将来、テレビ電話が使えるようになったとしても、動画メールは 残る可能性が高いだろう。

ちなみに、auのムービー携帯は、メールに添付するものではないので、 別のものと考えていいだろう。

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週刊 IT ニュース&コラム 2002/02/04
Borland, Linux用 C++開発環境を発表、Linuxの普及を後押し

2002年 1月28日、アメリカのボーランド・ソフトウェア社は、 Linux上で動く C++言語のビジュアル開発ツールを今年前半のうちに 出荷することを発表した。 ただし、製品の正式名称については 発表されていない。

Windowsに対抗するOSとしてLinuxが注目されているが、その 開発環境は、Windowsほど恵まれてはいない。 このため、 Linux用のプログラムを開発する人は、マニアックな人が マニアックなものを作ることが多い。 一般の人が使う アプリケーションが開発されることは、まれである。

C++言語は、C言語と互換性があるため、ハードウェアに近い 細かな制御ができ、かつ、オブジェクト指向という開発方法論を 意識した言語構造なので、大規模なアプリケーション開発にも 向いた言語である。 C++言語の習得は難しいが、適用範囲の 広さと、高速なプログラムが開発できることから、 実力のあるプログラマがよく利用する言語である。

ボーランド社は、Windows用C++言語の開発環境として C++Builder を 出している。 この開発ツールと互換性を持たせるのは確実なので、 C++Builder で開発してきたプログラムから、Linuxで動くプログラムを 作ることが非常に容易になるだろう。 C++言語を使うプログラマが 最も使っている開発環境は、マイクロソフト製の Visual C++ であるが、 そのプログラムの設定ファイルでさえ、C++Builder でほぼ使うことが できるため、ほとんどのプログラムが Linuxに対応することが容易になる だろう。(ただ、そこまで互換性を持たせることは難しいため、 後のバージョンになって完全互換を達成するかもしれない。)

これは、開発者に変化が訪れるだけではない。Windows の独占状態を 脅かす可能性を大いに秘めている。 なぜなら、Windowsと同じ動作をする Linux対応のソフトが増えてきて、Windowsを使わなければ仕事ができない ということがほとんど無くなるからだ。

マイクロソフトは、ただそれを見守っているわけではない。 すでに Visual Studio.NET という XML時代の開発環境を近日リリースする。 この開発環境では、C#言語(シーシャープ言語)という新しい プログラミング言語が使えるのだが、これも開発者の注目を集めている。

Javaの登場によって、OSによらず動作するアプリケーションができる ことにより、Windowsの独占が終わるだろうという予想がされたことが あったが、外れてしまった。 もしかしたら、今回も、予想だけに終わる かもしれない。それは、今のところ、Windowsが Linuxより、OS としての 機能が充実しているからだ。 しかし、Linuxの機能がユーザにとって 十分になる時がいつか来るだろう。そのとき、アプリケーションが 対応しているかどうかという、つまらない問題は無くなっているかもしれない。

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